FACTFULNESS (ハンス・ロスリング他著)を読みました。

先日、最近話題になっている新刊本『FACTFULLNESS』を読みました。

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 

この本の著者は、人々の中に広がった常識を打ち崩す統計を紹介することで人気のあるハンス・ロスリング氏

www.ted.com

(TEDのサイトを探すとほかにも彼の素晴らしいプレゼンテーションを見ることができます。)

 

 

本書の主張は、人は情報を受け取る時に、よりドラマチックに、わかりやすい情報を受け取ることが多く、そのために世の中のことを間違ってとらえている!だからしっかりと事実に基づく認識をしなければならない、というものです。

その主張に合わせて、人間の本能を10個に著者が分類し、それらを乗り越えるやり方を(とてもドラマチックに)教えてくれます。

 

例えば、「第一章 分断本能」では、「人は誰しも、さまざまな物事や人々を2つのグループに分けないと気がすまないもの」で、例えば、「世界の国々や人々が『金持ちグループ』と『貧乏グループ』に分断されているという思い込み」を持つ、と言われます。

そこで、著者は実際の2017年のデータを持ち出してその思い込みを一掃します。確かに60年代には世界は分断されていたけれども、今やその差もどんどん縮まってきており、「世界は基本的によくなってきている」。

パパッと書いてしまうと当たり前に聞こえるかもしれませんが、実際にカラフルな図と共にそれが示されると、とても印象的ですし、しっかりとデータを見ることの大切さを叩き込まれます。

 

こういった感じで、とにかく人間がドラマチックな情報を取り入れてしまうという本能を指摘し、徹底的にそれを覆すのがこの本です。

 

いかに人が世の中に間違ったイメージを抱いているかを示すために、本書の最初には筆者が実際に世界の著名人に出題してきた世界の状況についての12問の3択クイズがついています。チンパンジーでも33%(4問)は正解できるこの問題、さてあなたは何問正解できるでしょうか・・・

 

分断本能の他にも、「第6章 パターン化本能 『ひとつの例がすべてに当てはまる』という思い込み」では、人間は同じ集団であるというだけで、全然関係ない事柄をパターン化してしまうことがあるので、同じ集団だから、というだけで物事が説明されているとすれば、その分類を疑うべきだ、と書かれています。

例えば、我々は外国の貧しい人の暮らしぶりを見ると、その国の人はみなそのように似たような(貧しい)暮らしをしている、と思いがちです。しかし、本書では世界各国の様々な人の暮らしぶりを比較することで、国の違いよりも所得の違いが暮らしぶりに大きな影響を与えることを示します。

 

これらの思い込みを人々が乗り越えるためのツールを、著者たちは提供しています。

本書の共著者であるオーラ・ロスリングとアンナ・ロスリングは、gapminderというサイトを作り、この本で紹介されているギャップを乗り越えるための情報可視化ツールを公開しています。また、世界の所得の差による暮らしぶりの差を正しく伝えるために、doller-streetというサイトもオープンしています。

www.gapminder.org

www.gapminder.org

こうした知見は、学校の先生、メディア関係者、学者から、一般の人まで、様々な人がこの本の知見を利用することができます。(例えば、本書で紹介されている80:20ルールを知れば、家計を節約するときにどういうデータに注目すればいいかがわかるかもしれません。)

 

このブログを書いている私は、メーカーで技術を使って人助けをする仕事をしているので次の部分がすごく心に残りました。

「必要なのは、平和、学校教育、すべての人への基本的な保健医療、電気、清潔な水、トイレ、避妊具、そして市場経済に参加するための小口信用(マイクロクレジット)だ。貧困の撲滅にイノベーションは必要ない。ほかの場所で効果のあった対策を、極度の貧困にある人達に届ければいい。」

とりあえず基本的なことを整備するだけで、救われる人が多くいる、ということなんですね。

 

それから、ロスリング氏の娘夫妻が書いた後書きは、この本で初めてロスリング氏を知った私には衝撃的で、とても心打たれました。ぜひ読んでみてください。

 

読んでいただいてありがとうございました。

【紹介・要約】FACTFULNESS (ハンス・ロスリング他著) 世界は人が思うよりベター!

先日、最近話題になっている新刊本『FACTFULLNESS』を読みました。

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 

この本の著者は、人々の中に広がった常識を打ち崩す統計を紹介することで人気のあるハンス・ロスリング氏

www.ted.com

(TEDのサイトを探すとほかにも彼の素晴らしいプレゼンテーションを見ることができます。)

 

 

本書の主張は、

人は情報を受け取る時に、よりドラマチックに、わかりやすい情報を受け取ることが多く、そのために世の中のことを間違ってとらえている!だからしっかりと事実に基づく認識をしなければならない!

というものです。

 

その主張に合わせて、人間の本能を10個に著者が分類し、それらを乗り越えるやり方を(とてもドラマチックに)教えてくれます。

 

例えば、「第一章 分断本能」では、

人は誰しも、さまざまな物事や人々を2つのグループに分けないと気がすまないものだ

と言われています。

 

そして、例えば、

世界の国々や人々が『金持ちグループ』と『貧乏グループ』に分断されているという思い込みも、分断本能のなせるわざだ。

と言われます。

 

そこで、著者は実際の2017年のデータを持ち出してその思い込みを一掃します。

確かに60年代には世界は分断されていたけれども、今やその差もどんどん縮まってきており、「世界は基本的によくなってきている」。

 

こうして書いてしまうと当たり前に聞こえるかもしれません。

しかし、実際にカラフルな図と共にそれが示されると、とても印象的で、しっかりとデータを見ることの大切さを叩き込まれます。

 

このように、とにかく人間がドラマチックな情報を取り入れてしまうという本能を指摘し、徹底的にそれを覆すのがこの本です。

 

 本書の最初には世界の状況についての13問の3択クイズがついています。

例えば、

質問12 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう?

A 20%

B 50%

C 80%

 

いかに人が世の中に間違ったイメージを抱いているかを示すために、設けられたこのクイズ。 

チンパンジーでも33%(約4問)は正解できるはずですが、さてあなたは何問正解できるでしょうか・・・

 

 

他にも、「第6章 パターン化本能 『ひとつの例がすべてに当てはまる』という思い込み」では、人間は同じ集団であるというだけで、全然関係ない事柄をパターン化してしまうことがある!と言われています。

なので、同じ集団だから、というだけで物事が説明されているとすれば、その分類を疑うべきだというわけです。

 

例えば、人は外国の貧しい人の暮らしぶりを見ると、その国の人はみなそのように似たような(貧しい)暮らしをしている、と思いがちです。

しかし、本書では世界各国の様々な人の暮らしぶりを比較することで、国の違いよりも所得の違いが暮らしぶりに大きな影響を与えることを示します。

 

これらの思い込みを人々が乗り越えるためのツールを、著者たちは提供しています。

本書の共著者であるオーラ・ロスリングとアンナ・ロスリングは、gapminderというサイトを作り、この本で紹介されているギャップを乗り越えるための情報可視化ツールを公開しています。www.gapminder.org

 

また、世界の所得の差による暮らしぶりの差を正しく伝えるために、doller-streetというサイトもオープンしています。 www.gapminder.org

こうした知見は、学校の先生、メディア関係者、学者から、一般の人まで、様々な人が利用することができます。

例えば、本書で紹介されている80:20ルールを知れば、家計を節約するときにどういうデータに注目すればいいかがわかるかもしれません。

 

このブログを書いている私は、メーカーで技術を使って人助けをする仕事をしているので次の部分がすごく心に残りました。

必要なのは、平和、学校教育、すべての人への基本的な保健医療、電気、清潔な水、トイレ、避妊具、そして市場経済に参加するための小口信用(マイクロクレジット)だ。貧困の撲滅にイノベーションは必要ない。ほかの場所で効果のあった対策を、極度の貧困にある人達に届ければいい。

とりあえず基本的なことを整備するだけで、救われる人が多くいる、ということなんですね。

 

それから、ロスリング氏の娘夫妻が書いた後書きは、この本で初めてロスリング氏を知った私には衝撃的で、とても心打たれました。ぜひ読んでみてください。

 

読んでいただいてありがとうございました。